XYMのハーベスト/ステーキング報酬で得た仮想通貨の税金は二倍課税?!
2023年4月時点の日本の税制では、ハーベスト(ステーキング)やマイニング等で得た仮想通貨は、報酬付与時の評価額で課税されます。さらに、付与された仮想通貨を売却したタイミングでも課税されます。
ここで注意すべき事があります。
それは、報酬で得た仮想通貨を売却した際の『利益』についてです。
売却益の計算は平均取価格を考慮する必要あり
株式投資経験者ならわかると思いますが、売却益の計算は平均取得価格を考慮しますよね?仮想通貨投資も同様に、ステーキングしている銘柄の平均取得単価から売却時の利益を計算する必要があります。
仮想通貨『XYM』のハーベストを例にして説明します。
<前提条件>
・Aさんは、XYMを100万枚購入して委任ハーベストをはじめた。
※以下委任ハーベストを『ハーベスト』と表現します。
・XYMの平均取得単価は『5円』。
・ハーベスト報酬は1回に100XYM
・XYMの価格とハーベスト報酬はほとんど変動せず、1月から1年間ハーベスト続行
・12月末頃にハーベスト報酬分のXYMを全て売却。
さて、Aさんがハーベストをはじめて間もなくXYMが高騰し、1XYM=120円で安定しました。100万XYMのハーベスト設定で1ヶ月に30回報酬を得たとします。
Aさんの1年間の報酬=100XYM×30回×12ヶ月=36,000XYM
Aさんの1年間の報酬を日本円換算すると、4,320,000円です。
因みに報酬36,000XYM(評価額4,320,000円)は、これを得た時点で既に課税対象となっています。
Aさんは利益確定と納税資金捻出のため、これら全てを単価120円で売却し、4,320,000円の日本円を手に入れました。(手数料は無視しています)
『年内に価格変動がなかった』という前提条件がありました。Aさんは、報酬付与時と売却時のXYM単価が変動無く120円のままだったので差額は『0』(売却益=0)とし、ハーベスト報酬付与時の評価額の『4,320,000円』を雑所得として確定申告の準備を始めました・・・。
お気づきですよね。Aさんは盛大に勘違いをしています。
Aさんが雑所得とすべき額は、おおよそ『8,316,000円』です。
実際に手にした日本円は4,320,000円なのに、課税額は8,316,000円です。
最初に説明したとおり、保有している銘柄の平均取得単価から売却時の利益を計算する必要があります。
日本のルールでは、もともとハーベストのために所有しているXYMと、報酬で得たXYMは区別されません。なので、Aさんの保有するXYMの総数は、36,000XYMの報酬を加えて1,036,000XYMになった・・・と見なされます。
このときの平均取得価格を計算すると
1,000,000XYM×5円+36,000XYM×120円=500万円+432万円=932万円
従って平均単価は、
932万円/1,036,000XYM=約9円
1,036,000XYMのうち、ハーベスト報酬量と同じ数量のXYM36,000枚を売却した場合
120円×36,000XYM-9円×36,000XYM=432万円-32.4万円=399.6万円
このように399.6万円の差益が発生します。
従って、報酬取得時評価額と合わせて、合計8,316,000円が雑所得として課税対象になります。計算式でも分かるように、XYM取得単価が低いほど課税対象額がUPしてしまうのです。
では、仮想通貨の価格暴落時に安い単価で多量購入し、ステーキングで多額の報酬を得ようと計画していた人の夢は絶たれるのでしょうか・・・
運用案:ハーベスト報酬売却量を調整して税率を抑える
仮想通貨での収益は雑所得扱いなので、報酬が多いほど税率が上がります。会社員など給与所得のある方は、雑所得があるが為に税率が高くなる事態もありえます。所得税を意識して売却量を調整するのもひとつの方法です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
日本の税制が改良されるまで売却しないという選択肢もありますが、税制改革がなされるのかは不透明であり、上場廃止などで価格が急落するリスクもあるため、定期的な利益確定は必要かもしれません。
※ご自身の納税額を正確に計算するためには、仮想通貨の税に詳しい税理士さんに相談するか、専用ソフトをご利用ください